虚言癖を理由に離婚できる?手続の違いと安全・生活費の準備

配偶者の嘘が続き、離婚を考えるほど疲れている。そんなときは、相手に虚言癖があるかを証明しようとする前に、自分と子どもの安全、生活費、離婚の話し合いを進められる状況かを分けて整理してください。

夫婦の合意による離婚と、裁判で離婚を求める場合では必要な条件が違います。この記事では、協議・調停・訴訟の違いと、別居や法律相談に向けて準備することを説明します。暴力や脅しがある場合は、証拠集めや夫婦での話し合いより、安全な場所への移動と支援先への相談を優先してください。

この記事で整理できること
  • 離婚の合意がある場合と、相手が拒む場合の手続の違い
  • 別居中の生活費と、離婚後のお金を分けて考える方法
  • 子どもの生活と、2026年4月施行の親権制度で確認する点
  • 相談時に伝える事実・資料・希望のまとめ方
目次

虚言癖を理由に離婚できるかと手続の違い

玄関先で話す男性と顔に手を当てる女性のイメージ

暴力や脅しがあるときは安全確保を先にする

離婚を切り出すと怒鳴られる、物を壊される、行動を監視されるなどの不安がある場合は、一対一で相手を問い詰めないでください。「話し合ってから」「カウンセリングを受けてから」でなければ相談できないわけではありません。

緊急に警察の対応が必要なら110番へ。相談先が分からないときは、内閣府のDV相談ナビの#8008から最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。相談は各窓口の受付時間内で、通話料がかかり、一部の回線では利用できません。緊急時の案内は内閣府の相談機関一覧でも確認できます。

安全な連絡方法や避難先、子どもを伴う移動での注意点は、支援窓口や弁護士に相談してください。準備資料がそろうまで危険な場所に残る必要はありません。距離を取る際の連絡や持ち物の考え方は、虚言癖が気になる相手との別れに向けた安全準備も参考になります。

協議・調停・訴訟では離婚の決まり方が違う

まず、離婚への合意があるか、条件を安全に話し合えるかを整理しましょう。民法第763条は、夫婦が協議によって離婚できることを定めています。協議離婚に、裁判上の離婚原因を証明することが必須というわけではありません。

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手続決まり方確認すること
協議離婚夫婦で離婚に合意し、離婚届を提出する離婚の意思と、子ども・お金などの条件を整理する
離婚調停家庭裁判所の調停委員会を介し、合意を目指す直接の話合いができない場合にも利用を検討する
離婚訴訟主張と証拠に基づき、裁判所が判断する原則として先に調停を経る。法定離婚原因の検討が必要

話がまとまらない、相手と直接話せない場合は、家庭裁判所の夫婦関係調整調停(離婚)を利用できます。離婚だけでなく、養育費、財産分与、慰謝料なども話し合えます。

調停で離婚に合意できなかった場合も、自動で離婚が決まったり、そのまま訴訟に移ったりするわけではありません。訴訟で離婚を求めるなら、別途訴えを起こします。手続と必要書類は裁判所の離婚訴訟案内を確認してください。

裁判では嘘の呼び名より婚姻生活への影響を整理する

裁判での離婚を考えるときは、「相手は虚言癖だ」という評価だけで結論は出せません。どんな行為があり、夫婦の生活にどのような影響が生じたのかを、具体的な事情に即して検討する必要があります。

2026年10月時点の民法第770条第1項には、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、その他婚姻を継続し難い重大な事由が定められています。「その他婚姻を継続し難い重大な事由」は現在第4号です。精神疾患の診断名だけを離婚の根拠とする説明はできません。

たとえば収入や借入れについての説明が変わり続け、家計の維持や生活上の判断が難しくなった場合は、その経緯と支出への影響を整理します。不貞や生活費を渡さない問題があるなら、それぞれの事実も分けて伝えます。これらが離婚原因として認められるかは、弁護士に個別に確認してください。

別居中の生活費と離婚後のお金を分けて考える

別居中と離婚後の生活費を考えるため家計資料を整理する手元のイメージ
生活費の整理を示す生成イメージです。

離婚を考えていても、家賃や食費、子どもの費用は続きます。自分が使える収入・預貯金、住居費、通学・保育・通院の支出を、まず月単位で書き出しましょう。相手から支払われると期待している金額と、実際に受け取れている金額は分けておきます。

別居中の夫婦の生活費などについて話合いがまとまらない場合には、婚姻費用の分担請求調停という手続があります。支払額や請求の進め方は収入・支出などの事情によるため、自分に認められる内容を相談しましょう。離婚するまで生活費の相談を待つ必要はありません。

離婚後の養育費、財産分与、年金分割、慰謝料は、それぞれ目的と条件が異なります。「虚言癖だから一定額の慰謝料が必ず出る」とは言えません。相手の行為、損害、資料を踏まえた個別判断が必要です。慰謝料に絞った整理は虚言癖に関する慰謝料請求の判断材料で確認できます。

子どもの生活と改正後の親権制度を確認する

子どもがいる場合は、住む場所、学校や保育園、通院、日々の世話、養育費、親子の交流を具体的に考えます。子どもに相手の嘘を調べさせたり、どちらの親につくかを迫ったりする方法は避け、困っていることを話せる大人や相談先を確保しましょう。

離婚と子どもをめぐる改正法は2026年4月1日に施行されました。現在は、離婚後の親権者を父母双方とする場合と、一方とする場合があります。共同親権・単独親権のどちらかが一律の原則という制度ではありません。

裁判所が親権者を定める際は子の利益を考慮し、子への害悪のおそれや、暴力等の事情を踏まえて共同で親権を行うことが困難と認められる場合などには、単独親権とする定めがあります。虚言癖という呼び名だけで親権の結論は決まりません。裁判所の親権者の定めに関する案内を確認し、離婚の時期や安全上の事情を含めて相談してください。

虚言癖が気になる配偶者との離婚に向けた準備

ベンチで別々の方向を向いて座る二人のイメージ

離婚するかは項目数や待つ期間で決めない

嘘の回数やチェック項目の数だけで、離婚する・しないの答えは出せません。今すぐ決断できなくても、自分が困っていること、守りたい生活、相談で知りたいことを整理するところから始められます。

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整理する軸確認すること次の行動
安全と健康脅しや暴力への不安、睡眠・食事・通院への影響危険があれば避難や支援相談を先にする
生活住居、毎月の収支、子どもの世話を続けられるか利用できる支援や婚姻費用を相談する
話合い事実確認や条件の話を安全にできるか直接対話が難しければ弁護士や調停を検討する
自分の希望関係を続けたいか、距離を置きたいか、まだ決められないか希望と迷っている点をそのまま相談で伝える

関係の継続を望み、安全に話せる場合は、特に困っている行為と必要な対応を具体的に伝える方法もあります。ただし、カウンセリングを受けることや一定期間待つことを、離婚相談の前提にする必要はありません。相手の治療や変化を自分だけで引き受けようとせず、自分自身の相談先も確保してください。

事実・未確認のこと・生活への影響を分けて残す

相談では、「どんな嘘が・いつ・どのような影響を与えたか」を時系列でまとめると、状況を説明しやすくなります。手書きかデジタルかだけで資料の価値が決まるわけではありません。自分が確認した事実と、推測や人から聞いた話を区別しましょう。

自分が受け取ったLINEやメール、適法に保有する家計資料などは、前後の文脈や日付が分かる形で保存します。提出用の写しを作る場合も、加工前のデータは残してください。集めた資料が何を示すのか、法的にどう評価されるかは別の問題なので、弁護士と確認します。

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記録する項目書き方の例(架空の相談例)
相手の説明「今月の家賃は支払った」とメッセージで説明された
自分で確認した事実管理会社から未払いの連絡を受けた。入金状況の詳細は未確認
生活への影響支払状況が分からず、住居費の計画を立てられない
手元にある資料受信したメッセージ、管理会社からの連絡、自分が保有する支払資料
相談したいこと支払状況の確認方法と、別居中の生活費をどう確保するか

録音の可否や使い方は、取得方法、状況、第三者の権利などによって問題が変わります。「自分が参加している会話なら常に合法で、必ず証拠になる」とは考えず、必要なら録音前に弁護士に確認してください。相手の端末への無断アクセス、アカウントへの不正ログイン、無断の追跡などに踏み込まないことも大切です。

危険を感じる場面で、記録のために会話を続ける必要はありません。資料が少なくても、相談は始められます。

調停で話が食い違うときは争点と資料を対応させる

調停は「どちらが嘘つきか」を判定してもらうだけの場ではなく、離婚や条件について合意を目指す場です。相手の話が事実と違うと感じたら、「相手はいつも嘘をつく」という評価だけでなく、何が違い、どの資料で確認できるかを整理しましょう。

たとえば「生活費は支払っている」と言われた場合は、対象月、実際に受け取った金額、確認できる入金記録を対応させます。そのうえで、今後いくら・いつ・どう支払うことを希望するのかを分けて伝えると、話し合う点が明確になります。

相手と顔を合わせる不安や、現住所を知られたくない事情がある場合は、申立先の家庭裁判所に事前に相談してください。裁判所の家事事件Q&Aには、個別事情に応じた進行の工夫や住所の非開示の申出などの案内があります。提出資料に住所や学校名などが含まれる場合の扱いも、提出前に確認しましょう。

弁護士相談には希望と不安を持っていけばよい

離婚を決めた後だけでなく、別居すべきか迷っている、相手が離婚に応じそうにない、収入や借入れが分からないという段階でも、法律相談で選択肢を確認できます。相談と代理人としての依頼は分け、費用や依頼範囲を確かめてから判断しましょう。

  • 困っている出来事と時期、現在の同居・別居の状況
  • 手元にある資料と、まだ確認できていないこと
  • 子どもの年齢、日々の世話、住居や通学上の心配
  • 毎月の収入・支出と、当面使えるお金の見通し
  • 望む対応、まだ決めていないこと、安全な連絡方法

法律事務所の相談料や依頼費用は事前に確認してください。経済的に不安がある場合は、法テラスの無料法律相談の利用条件を確認できます。収入・資産などの要件があり、誰でも無料になるわけではありません。無料相談と弁護士費用等の立替えも別の制度として確認しましょう。

裁判所の窓口では手続の案内を受けられますが、「自分の場合に離婚が認められるか」「いくら請求できるか」といった個別の法律判断は弁護士に相談します。資料が十分でないときは、不足している内容自体を伝えれば大丈夫です。

まとめ:虚言癖と離婚は手続・安全・生活を分けて考える

虚言癖が気になる相手との離婚は、夫婦の合意で進める場合と、裁判で判断を求める場合を分けて考えることが大切です。相手の呼び名を証明することより、具体的な行為、生活への影響、子どもの状況、自分の希望を整理しましょう。

危険があるなら安全と支援相談を優先し、生活費や住居の不安があるならその点から相談してください。離婚するかを今日決めなくても、手元の資料と気になっていることをまとめ、次に何を確認するかを専門家と考えることはできます。

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