虚言癖の悩みでカウンセリングを続けているのに、同じ嘘を繰り返してしまう。「効果がないのかな」と感じると、続けるお金や時間だけでなく、自分の努力まで無駄に思えてつらいですよね。
変化が見えないときは、まず「何を目標にしていたか」「生活のどこが変わり、どこが変わっていないか」「続ける負担はどれくらいか」を担当者と確かめましょう。そのうえで継続、方法や頻度の調整、担当変更、医療への相談を考えます。回数だけで効果を判定したり、苦しさを我慢して続けたりする必要はありません。
この記事では、既に相談を始めている方に向けて、経過の整理と次回の面談での伝え方をまとめます。ここで示すメモや会話例は相談を助けるための例で、診断用の尺度や治療効果の判定基準ではありません。
- 嘘の回数に加え、言い直し・生活への影響・面談後の負担を分けて見る
- 目標と面談内容のずれを、具体的な一場面から担当者と確認する
- 次回は困っている点、変化、希望を短いメモにして持参する
- 調整内容と振り返る時期を決め、悪化や安全の懸念は早めに相談する
虚言癖のカウンセリングで効果がないと感じたときの確認点

「話すと少し楽になるけれど、職場ではまだ話を盛ってしまう」「嘘は減った気がするが、人に会うのを避けるようになった」。同じ効果への疑問でも、確かめたい内容は違います。最初に、改善したい行動と自分の負担を別々に見ていきましょう。
嘘の回数だけで効果を判断しない
目標が「嘘をつかない」だけだと、一度の失敗で全部がだめになったように感じやすくなります。まず担当者と、どの場面の、どんな行動を変えたいのかを具体化してみてください。例えば「仕事の進捗を聞かれたとき、未完了なのに終わったと言ってしまう」という場面です。
その場面で確かめられるのは、嘘を言ったかどうかだけではありません。答える前に一呼吸置けたか、「確認してから答えます」と保留できたか、事実と違う返答をしたあとに言い直せたかも、話し合う材料になります。ただし、こうした行動が見えたから治療が成功したと断定するものではありません。
一方、「嘘をつかなくなった」と思っていても、実際は会話を避けているだけなら、仕事や人間関係の困りごとが残っていることがあります。反対に、人と話す機会が増えて、嘘の件数も増えたように見えることもあります。行動の数と、その行動が起きた状況を一緒に確かめることが大切です。
| 見たい点 | 振り返りの例 |
|---|---|
| 行動 | 答える前に保留する、間違いを言い直すなど、別の対応を選べたか |
| 生活への影響 | 嘘のつじつま合わせ、仕事のやり直し、対人トラブルはどう変わったか |
| 気持ちと負担 | 不安や自己否定、面談前後の疲れが生活にどれくらい影響したか |
全部を良くしようとするより、今いちばん困っている項目を一つ選ぶと話し合いやすくなります。「今回は進捗の返事を正確にすることを扱いたい」と決めれば、面談で何を振り返るのかも共有しやすくなります。
目標と面談内容のずれを確かめる

相談者は「その場しのぎの嘘を減らしたい」と考え、担当者は「まず安心して話せること」を重視しているかもしれません。どちらかが間違っていると決める前に、今の面談が何を目指しているのかを尋ねましょう。目標が共有されていなければ、変化があっても自分の期待と結びつかないことがあります。
「最近は過去の話が中心ですが、今の職場で返答をごまかす悩みと、どのようにつながっていますか」と聞く方法があります。過去を扱うことに意味がある場合でも、今の困りごととの関係や、扱う順番について説明を受けてよいのです。逆に、具体策を急ぐのが負担なら、その希望も伝えられます。
日本臨床心理士会の倫理綱領では、会員に対して、業務の目的・技法・契約期間・料金等を理解しやすく説明し、契約内容の見直しの申し出を受け付けると伝えることを求めています。この規定は同会会員を対象としたものですが、相談の進め方を確認するときの参考になります。
家族に勧められて通い始めた場合は、家族の期待と本人の目標も分けます。家族は「すぐに全部本当のことを話してほしい」と望み、本人は「責められるのが怖くて言えない場面を減らしたい」と考えているかもしれません。面談で扱う目標は、誰の希望なのか、本人も取り組みたいと思えているのかを確認してください。
また、謝罪や信用の回復まで一度に達成しようとすると、相手の反応で経過を評価することになりがちです。「事実と違う返答を訂正する」という本人の行動と、「相手が納得して許してくれる」という相手の判断は分けて考えます。必要な訂正や対応を相談しつつ、相手の反応だけでカウンセリングの価値を決めないようにしましょう。
質問するときは、療法名を覚えて正解を当てる必要はありません。「今は何をする段階ですか」「今日の話を生活のどこで生かせますか」「この方法で難しい場合は何を見直しますか」のように、読んで分かる言葉で説明してもらいましょう。
担当者の説明と自分の希望が一致しないなら、その違いが次の協議の出発点です。納得していないのに「分かりました」と返した場合も、あとから「実はまだつながりが分かっていません」と戻って大丈夫です。
比べる期間と場面をそろえる
経過を見るときは、調子の良かった一日と最も大変だった一日だけを比べないようにします。例えば、担当者と相談して前回から今回までの様子を振り返るなど、無理なく思い出せる区間を決めます。記憶が曖昧なら、正確な数値を埋めず「よく覚えていない」と書いて構いません。
場面もできるだけそろえます。休日の友人との会話と、締切前の上司への報告では、緊張や利害が違います。「進捗を聞かれた場面」に絞り、そのときの返答とあとに起きたことを比べると、まだ難しい条件が見えてきます。これは自己採点のためではなく、次に何を扱うか決める材料です。

例えば、説明のための仮の例として、「前は未完了と言えず、その後も隠していた。今回はその場ではごまかしたが、後から未完了だと訂正できた」と整理できます。このとき残る課題は、最初の返事で事実を伝えることです。訂正できた点と、最初に答えられなかった点を両方書くと、過大評価も過小評価もしにくくなります。
仕事量の増加、転勤、家族との関係、睡眠の変化など、生活条件が変わった場合も添えてください。変化の時期が面談の開始と重なっても、その面談だけが原因とは限りません。「何が効いたか」を一人で確定させるより、「この時期にこれも変わった」と担当者に渡す方が役立ちます。
毎日の細かな記録が負担なら、次に話したい出来事を一件だけ選ぶ方法でも十分に相談を始められます。記録の空欄を埋めるために事実を作ったり、家族にすべて監視してもらったりする必要はありません。書くこと自体が苦痛なら、メモを使わず口頭で振り返る方法も相談しましょう。
話しにくさと面談後の負担を見る
「良くなったと言わないと申し訳ない」「担当者に嫌われたくない」と感じ、面談で困りごとを小さく話していないかも確認します。虚言癖の悩みがあっても、最初からすべてを正確に話せることを相談の条件にしなくてよいのです。言いづらかった理由も含めて、話せる範囲から伝えましょう。
「前回、うまくできたと言いましたが、実際はまだ困っています。がっかりされそうで言えませんでした」という伝え方があります。出来事の訂正と、話すときの怖さを分けると、担当者も進め方を検討しやすくなります。言葉が出ない場合は、短い紙を見せたり、事前連絡で相談の時間をお願いしたりできます。
面談後に疲れることがあっても、その理由や意味を自分で決めつけないようにします。帰宅後に休むと戻るのか、翌日の仕事ができないほど残るのか、眠れなくなるのかを伝えてください。つらさがあるだけで直ちに無効とも、つらいほど効果があるとも判断できません。

話す範囲を狭める、休憩を入れる、当日の終え方を相談するなど、希望は具体的に伝えられます。人格を否定される、質問するのが怖い、やめたいと言えないなどの不安がある場合は、同じ担当者へ直接伝えることを優先しなくて構いません。安全に相談できる受付や別の専門家を探すことを考えます。
回数より振り返りの予定を決める
何回受ければ変化するかは、困りごとや目標、生活条件、面談で行う内容によって異なります。虚言癖の悩みに対して、特定の回数を過ぎたら効果なしと決めたり、その回数まで必ず我慢したりする基準を、この記事から示すことはできません。
米国心理学会の心理療法についての専門家へのインタビューでも、進展を感じないときに療法士と経過を話し合うことや、期間・活動内容などを確認することが説明されています。ただし、一般の心理療法についての説明であり、虚言癖への特定療法の有効性や必要回数を証明する資料ではありません。
実際の面談では、「何を試してから、いつ振り返るのか」を決めると先の見通しが持ちやすくなります。「次に職場で進捗を聞かれた場面を振り返り、保留する返事が使えたかを確認したい」のように、見たい変化と協議の予定を組にします。
約束した時期までに変化がなくても、それだけで本人の努力不足とはいえません。場面の難しさ、方法の説明、練習の負担、相談の対象が合っているかを検討する材料になります。また、状態が悪化した場合は振り返りの日を待たず、早めに相談してください。
虚言癖のカウンセリングで効果がないときの見直し方と伝え方

ここからは、確認した内容を次回の話し合いにつなげます。続けるかやめるかを面談前に決め切らなくても構いません。まず現状と希望を伝え、担当者の見立てや調整案を聞いてから判断する進め方もあります。
次回に持参するメモを一枚にまとめる
準備は、長い反省文よりも、面談で取り上げたいことが見える短いメモを目指します。次の五項目を必要な分だけ埋めてください。スマートフォンの画面を見ながら話してもよく、書けなかった項目は空欄のままで大丈夫です。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 当初の目標 | 仕事の進捗について、終わっていないことを終わったと言わずに伝えたい |
| 変わっていない点 | 急に聞かれると、今も反射的に事実と違う返事をする |
| 変わった点 | あとから訂正できた場面があった。会話を避ける日も増えた |
| 負担と生活条件 | 面談後の疲れが翌日まで残る。最近は仕事量も増えている |
| 今日相談したい希望 | 今の目標と方法を確認し、課題の量と振り返る時期を決めたい |
表の例は実際の利用者の体験談ではなく、書き方を示す仮の内容です。自分の状況に合う項目だけ使いましょう。「良い変化が思いつかない」「何を目標にしたか分からない」も、そのまま伝えられる大事な情報です。
準備で迷ったら、いちばん最近の困った場面を一つ選びます。「何を聞かれたか」「自分はどう答えたか」「その後どんな支障があったか」の順にすると、担当者と事実を確認しやすくなります。相手の性格や自分の原因について結論まで書く必要はありません。
メモに家族や同僚の氏名を詳しく入れる必要もありません。「上司」「家族」など、話を理解するのに足りる呼び方にします。事前送信する場合は相談先が案内する連絡方法を確かめ、送る範囲も確認してください。準備に時間を使い過ぎると疲れるなら、箇条書き三行から始める方法でもよいでしょう。
面談の最初に経過を話したいと伝える

いつもの近況報告をしているうちに時間が終わってしまうなら、冒頭で今日の希望を伝えます。「今日は新しい話題の前に、これまでの目標と変化を振り返りたいです」と言えば、経過の相談を面談の話題にしやすくなります。言いにくければ、メモの最初の一行として見せても構いません。
相手を責める言い方にしないよう気を遣い過ぎて、肝心の困りごとを引っ込める必要はありません。「効果が分かりません」「このまま続けるのは負担です」と率直に言ってよいのです。話し合いは担当者を評価する試験でも、自分の努力を証明する場でもありません。
返答を受けたら、分かった点とまだ分からない点を確かめます。「まず不安を整理する段階なのですね。その進み具合は、どんな点で確認できますか」と聞くと、抽象的な説明を生活の具体例につなげられます。専門用語が続いた場合は、短い言葉への言い換えをお願いしてください。
その日のうちに方法を決められない場合もあります。そのときは、何を持ち帰って考えるか、担当者側で確認することはあるか、次にいつ話題にするかを整理します。面談の最後に「次までに試すことはこれで、難しければ連絡方法を確認する、という理解で合っていますか」と自分の言葉で確かめると、認識のずれを見つけやすくなります。
話し合いで自分の希望が変わったら、それも共有します。「具体策が欲しいと思っていたけれど、今は職場の話をするだけでも消耗する」と気づいた場合は、その状態を踏まえて扱う範囲を相談できます。目標を調整することと、困りごとをなかったことにすることは別です。
継続・方法調整・担当変更を選び分ける
次の選択肢は、効果の有無を機械的に判定する表ではありません。担当者との協議で何を確認するかを整理したものです。複数を組み合わせることもあり、相談者だけで療法や治療の適否を決める必要はありません。
| 選択肢 | 話し合う条件 | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 今の方法で継続 | 目標を共有でき、進め方の説明に納得できる。負担も相談できる | 次に何を見て、いつ経過を話し合うか |
| 方法や頻度を調整 | 目標は合うが、話題・課題・面談間隔などが生活と合わない | 変える点、試せる範囲、難しいときの対応 |
| 担当や機関の変更を相談 | 希望する支援を扱えない、話し合っても説明のずれが解消しない | 別の担当の可否、紹介、必要な情報の引き継ぎ |
| 医療へ相談 | 心身の不調が強い、生活への支障が続くなど評価が必要 | 受診先と緊急度、今の相談との併用・連携 |

例えば、次回までの記録が多くて実行できないなら、「記録ができない自分はだめ」と結論づける前に、一場面だけ振り返る形へ減らせるか相談します。面談で話を整理するだけでは目標とつながらないと感じるなら、返答を保留する言い方を一緒に考える時間が取れるかを尋ねることもできます。
英国NHSの心理療法の案内では、感情や経験を話す方法と、考え方・行動に取り組み面談の間にも練習する方法など、内容の違いが説明されています。方法名の優劣を決めるためではなく、自分が受けている相談で何をするのかを確認する参考になります。この案内は英国の医療制度に関するもので、日本で同じサービスや受診経路を利用できるという意味ではありません。
担当者を変えるか迷う場合は、「この目標をこちらで扱えますか。難しければ別の担当や機関も考えたいです」と尋ねられます。同じ担当での調整が合う人もいれば、変更を検討する人もいます。本人と担当者の関係や専門領域、受けられる支援はそれぞれ異なるため、一度の返答だけを全国共通の基準にしないでください。
新しい相談先を比較する段階では、虚言癖のカウンセリングで相談先を選ぶときの確認点も参考になります。今の記事では、現在の経過を整理してから、次に必要な支援を言葉にすることを優先しましょう。
不調が強いときは医療にも相談する
カウンセリングの進み方を見直しても、眠れない、食べられない、強い落ち込みが続く、仕事や学校へ行けないなどの状態があるなら、心身の不調について医療機関にも相談してください。ここで重要なのは嘘の有無だけでなく、日常生活がどれくらい保てているかです。自分で病名を決めてから受診する必要はありません。
厚生労働省のこころの専門家の案内では、落ち込みや通学への支障などがある場合に専門家へ相談することや、地域の保健所・精神保健福祉センター、精神科、かかりつけの内科などの入口を示しています。受診先が分からなければ、地域の相談窓口に近くの医療機関を尋ねる方法があります。
受診時には、いつからどんな不調があり、生活に何が起きているか、現在どこでどんな相談を受けているかを伝えます。「虚言癖だから診てほしい」という一言に加えて、「寝つけず遅刻が増えた」「食事が取れず仕事を休んでいる」と具体化すると、状態を説明しやすくなります。面談後に悪くなったと感じる場合は、その時期も添えてください。

既に診療や服薬を受けている場合は、カウンセリングの担当変更と薬の中断を一緒に決めないようにします。気になる症状や副作用、通院の負担は処方した医師に相談し、自己判断で服薬を変えないでください。心理相談と診療が別の場所なら、誰に何を相談するかをそれぞれ確認しましょう。厚生労働省のこころの耳Q&Aでも、精神科の処方薬を自己判断で中断せず、疑問は主治医に尋ねるよう案内しています。
自分を傷つけそうで安全を保てないなど切迫した危険があるときは、次の予約まで一人で待たず、近くの人や医療につながってください。救急車が必要な緊急時は119番です。緊急性のないこころの相談先を探す場合は、厚生労働省の電話・SNS等の相談先一覧から、利用条件や受付時間を確かめられます。
変更するときは必要な情報を引き継ぐ
担当や機関を変える場合は、最初からすべてを説明し直す負担を減らすため、当初の目標、取り組んだ内容、分かったこと、まだ困っていることを短く整理しておくと役立ちます。次の担当者への情報提供を希望するときは、渡す相手と内容、本人の同意、手続きや費用の有無を確認してください。
「前の先生が合わなかった」とだけ伝えるより、「目標は職場での返答を変えることでしたが、相談の進め方とのつながりが分からず、今回は最初に確認したいです」と話すと、新しい相談でも優先する点を共有できます。過去の担当者を悪く言わないよう配慮するために、自分の不安を隠す必要はありません。
変更先が決まるまで間が空くなら、その間につらくなった場合の相談先も確かめます。新しい相談先の受け入れ条件や予約状況はそれぞれ異なるので、必ずすぐ引き継げるとは限りません。「今の面談をどうするか」と「次にどこへつながるか」を別々に確認すると、手順を考えやすくなります。
なお、暴言や不適切と感じた対応など、安全の懸念を伝えたいときは、経過の評価とは分けて虚言癖のカウンセリングで苦情を伝えるための整理と相談先を確認できます。契約を終えると決めたあとの連絡・精算は、カウンセリング解約時の連絡と返金の確認点で扱っています。効果の話し合いと、苦情・契約の手続きを混ぜないことが大切です。
虚言癖のカウンセリングが効果がないと感じたら
変化が見えないときは、嘘をついたかどうかだけで自分や相談を採点せず、目標にした場面、実際の行動、生活への影響、続ける負担を分けて振り返りましょう。改善した点と、まだ困る点は同時にあって構いません。
次回の面談では、最初に「今日は経過を確認したいです」と伝え、最近の具体例を一つ出してみてください。目標と方法のつながり、調整できる点、次に振り返る時期を話し合うと、継続するか別の方法を考えるかの材料が増えます。
説明に納得できない、安心して疑問を言えない、負担が強すぎるときは、担当変更や別機関への相談も選択肢です。心身の不調や切迫した危険がある場合は、カウンセリングの効果を確かめることより、医療と安全につながることを先にしてください。まずは「変わっていないこと」と「次回相談したいこと」を一行ずつ書くところから始めてみましょう。
